入院ベッドで私は患者の体験記を探していた。
重症だったけどよくなったという体験記の中に希望をさがした。
どんなことをすれば良い結果になる確率があがるのか。
自分にできることを知りたかった。
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2週間の急性期病院での治療が終わると、リハビリ病院に転院した。
それまで点滴につながれて、ベッドの上で寝たきりの生活であったが、いきなり動きましょうという雰囲気になった。
リハビリ病院には、私のように脳卒中の人や整形外科で手術をした人などがいた。年齢はさまざまであるが、やはり年配の方が多かった。
私は気力もなくベッドに引きこもっていたが、整形外科の方はおしゃべりしたり、歌を歌ったりと、健康で元気にあふれているように見えた。
急性期と違い、リハビリ病院は明るい雰囲気があり、スタッフも明るかった。それはそれでありがたかったと思う。
リハビリ病院では1日3時間(1時間×3回)リハビリを行う。
リハビリテーションにはいくつか技術に流派があるようで、川平法やPNFなど有名なものがいくつかあるようだが、私が受けたリハビリはボバースアプローチであった。
自分が選んだわけではなく、頼った病院のセラピストがこの流派のエキスパートだった。
ボバースアプローチでは麻痺した私の身体の変化について以下のように説明した。
「麻痺した身体は、代償という機序で動作のしくみ・バランスが変わっている。手が動くように見えて、手の筋肉ではなく、腕の筋肉が引っ張りあげていたり、手の筋肉は動いているようで動いていなかったり。指が一本づつではなく、全部一緒に動いてしまうなど身体が一体感を失い本来とは異なる動きをしている。これはいずれ繊細な動きを阻害することになる」
ボバースアプローチはこういう悪い代償を抑えながら、うまく本来の体の動きを取り戻せるよう感覚誘導訓練を行ってくれた。
つまり、麻痺した身体が元のように治ることを目指してくれた。
上肢機能アプローチ 山本伸一先生
リハビリの核になる部分ははやり自力ではできない。
ただ、これはセラピストの技能に大きく左右されるようである。
誰が優秀なセラピストかは患者としてリハビリをうけてみれば技術の違いはすぐにわかる。
しかし、残念ながら?今の日本の病院では患者は自分でセラピストを選べない。
回復への一番大事な機会は運にかかっていることになる。