脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

会社の栄養・運動指導には医療費削減効果なし

人の生活習慣はなかなか変わるものではない。

食習慣となればほとんど変えることは不可能だ。

 

要旨

アメリカでは医療費が高いため、予防医学が盛んです。特に医療費コストの観点から会社でも健康プログラムが実施されています。しかし残念ながら、定期的な運動や体重管理を促す効果はあるものの、血圧やコレステロールなどの検査測定値や医療費の削減には効果がない。

 

 

 

米国の職場を対象にしたクラスター無作為化比較試験を紹介します。

(JAMA誌2019年4月16日号)

 

方法


  試験対象の職場から無作為に20ヵ所(4,037例)を抽出して介入群とし、各職場の登録栄養士が、栄養摂取、身体活動、ストレス解消やその他の関連するトピックスについて8回の講義を行った。残りの140ヵ所の職場は対照群とし、何も行わなかった。


 評価は、

(1)自己申告による健康・行動に関するサーベイ

(2)スクリーニングによる臨床検査測定値

(3)医療費と医療サービス利用状況

(4)欠勤率、就労期間、パフォーマンス評価(就労成果)などの雇用アウトカム

 

結果

18ヵ月時点で、

(1)自己申告による健康関連アウトカムのうち、定期的に運動を行っている、と回答した割合は、対照群61.9%に対し、介入群は69.8%と有意に高率だった(補正後群間差:8.3ポイント、95%信頼区間[CI]:3.9~12.8、p=0.03)。

 積極的に体重管理を行っている割合も、対照群54.7%に対し、介入群が69.2%と高率だった(同:13.6ポイント、7.1~20.2、p=0.02)。

 (2,3,4)自己申告による健康・行動に関する27項目(自己申告の健康、睡眠の質、食物選択など)、臨床検査測定値10項目(コレステロール、血圧、BMIなど)、医療・薬剤費や医療サービス利用状況の38項目、雇用アウトカム3項目(欠勤率、就労期間、就労成果)についてはいずれも、介入による有意な効果は認められなかった。


 

この結果は

「企業の健康プログラムの費用対効果を下方修正することになる」

 

引用:Song Z, et al. JAMA. 2019;321:1491-1501.

 

 

naorureha.hatenablog.com