脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

脳卒中後の職場復帰は歩行速度で予測可能?

いかに転帰(職場復帰)を予測するかは、リハビリ医療における重要なテーマです。

それにより支援や準備が変わってくるからです。

 

脳卒中を経験した若年成人では、歩行速度が職場復帰できるかどうかのバロメーターになるかもしれない。そんな研究結果を紹介します。

 

要旨

 

英Hannah Jarvis氏らは1秒間に0.93m歩けるかどうかが、日々の業務に対応できるかどうかを予測する閾値になると報告しました。
  Jarvis氏らによると、脳卒中を発症する患者の4人に1人は65歳以下であり、最大44%の人が歩行困難のため職場に復帰できない。「仕事に復帰するなら、駐車場やバス停、オフィス、会議室まで歩かなければならない。だが、歩けなかったり、疲れやすかったりする場合、仕事をこなす能力が著しく阻害される」と説明しています。

 

方法
  

 英ウェールズの6施設の病院18~65歳の脳卒中46人(18~40歳が6人、41~54歳が21人、55~65歳が19人)と、健常者15人(対照群)を対象にした。対象者に、それぞれの快適歩行速度で3分間歩いてもらった。

 

結果
 脳卒中患者は対照群に比べ、年齢に関係なく歩行速度が遅く、歩行の効率性も低いことが明らかになった。また、脳卒中患者のうち職場復帰できたのはわずか23%であり、職場復帰の最も強力な予測因子は歩行速度であることも判明した。具体的には、0.93m/秒以上歩ける人では、歩けない人に比べ、職場復帰できる可能性が有意に高かった。職場復帰できた人では、10人中9人が0.93m/秒以上の速さで歩くことができており、平均歩行速度は、職場復帰を果たした人では1.18m/秒だったのに対し、復帰に至らなかった人では0.74m/秒だった。

 

結論

 脳卒中後の患者が職場復帰できるかどうかを臨床医が判断する際、歩行速度が有用な指標となることが分かった

  Jarvis氏は脳卒中後のリハビリおいて「例えば、患者の歩行の質を維持しつつ歩行速度を上げることに注力することで、患者が職場へ復帰できる機会も生まれてくるのではないか」と付け加えている。

 

引用:Jarvis HL, et al. Stroke. 2019 Sep 26. [Epub ahead of print]

 

 

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