脳梗塞後の世界で生きる日記

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日本におけるコロナワクチン接種後アナフィラキシー 350例

2021年2月17日~4月4日までに、日本国内で新型コロナワクチン接種後のアナフィラキシーとして医療機関から報告されたのは350例あるそうだ。これらの事例について専門家評価が行われ、実際にアナフィラキシーとして判断されたのは79例であった。

 

以下、厚生労働省第55回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会での公表内容である。


日本におけるアナフィラキシー報告頻度は100万回当たり72 件


350例についての専門家評価の結果

ブライトン分類1が14件(1回目接種:14件)

       2が57件(1回目接種:53件/2回目接種:4件)

       3が8件(1回目接種:8件)該当したことが報告された。

 

ブライトン分類レベル1~3の報告頻度は79 件/109万6,698 回接種(72 件/100万回)で米国(4.7件/100万回)や英国(17.7回/100万回)と比較すると高いようにもみられるが、米国の医療従事者調査では247回/100万回という報告も出ており、被接種対象者の違い、報告制度の違い等の理由から、単純な比較は難しい状況にあると検討部会では位置づけている。

 

対象症例の年齢別・性別・アレルギー歴別の報告数

 

ブライトン分類レベル1~3に該当した79例について年齢別・性別・アレルギー歴別に報告件数をみた結果は以下のとおり。

 

[年齢別・性別]
20~29歳:15件(男性6件/女性9件
30~39歳:20件(男性2件/女性18件
40~49歳:28件(男性0件/女性28件
50~59歳:13件(男性0件/女性13件
60~69歳:3件(男性0件/女性3件)    女性が多い

 

[アレルギーの既往歴別(アナフィラキシーおよび薬剤アレルギーの有無別)]

ブライトン分類レベル1:既往歴有4件/既往歴なし9件/不明1件(計14件)
ブライトン分類レベル2:既往歴有23件/既往歴なし32件/不明2件(計57件)
ブライトン分類レベル3:既往歴有1件/既往歴なし7件/不明0件(計8件)

 

日本アレルギー学会の専門委員による評価結果

日本アレルギー学会理事の中村 陽一氏(横浜市立みなと赤十字病院アレルギーセンター センター長)は、日本アレルギー学会 Anaphylaxis 対策委員会での検討結果について報告した。この検討は、3月11日までに医療機関からアナフィラキシーとして報告された35件について行われたもの(このうちブライトン分類1~3に該当とされたのは10件)。

 

11名の同委員会委員によるアレルギー学会ガイドラインに基づく重症度分類で、グレード1(軽症)としての評価が最も多かった事例は16例、グレード2(中等症)としての評価が最も多かった事例は10例、グレード3(重症)が9例となった。全体として重症度は低かったことになるが、アドレナリンを中心とする治療により重症への進展を防ぐことができた症例が含まれている可能性があると指摘している。

 

β遮断薬使用者や高血圧患者でのアドレナリン使用の注意点

世界的にもアナフィラキシーガイドラインでは一般的に、「現場の医師がアナフィラキシーと判断した場合はアドレナリン筋注を実施すべきであり、適切な実施がなされなかったために致命的となるリスクは過剰使用のリスクよりもはるかに大きい」と考えられている。

 委員からは、β遮断薬使用者や高血圧患者でのアドレナリン使用、高齢者での接種開始にまつわる注意点についての質問が上がった。中村氏は、「β遮断薬使用者ではアドレナリンが効かない場合が多いので、グルカゴンの使用など、通常のルールに従って行われるべきではないか」と回答。「高血圧患者に対しては、例えば血圧が200近い場合などはアドレナリンの投与に躊躇するのではないかと思う。その場合、投与量を減らすのが一般的なアナフィラキシーに対する救急の処置になる。具体的には、通常、成人には0.3mgのところを0.2mgとするなどが考えられる」と説明した。投与量が少ないためにアナフィラキシーに対する効果が薄い場合には、例えば15分後に再投与するなどの工夫が必要になるとした。そのうえで、アナフィラキシーはその場で命に関わるものであり、高血圧はアドレナリン投与の絶対的な禁忌ではないことを補足した。

 また高齢者の接種開始にまつわる注意点については、「コントロール不良の喘息患者さんでは、アナフィラキシーが重症化しやすい。そして重症喘息は高齢者に比較的多いので、注意が必要」と指摘した。

 

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