脳梗塞後の世界で生きる日記

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コロナ再感染が抗体陽性だと1/5に減る

アメリカにおけるエビデンスレベル高めのデザインによる研究論文を紹介します。

 

新型コロナウイルスSARS-CoV-2)の再感染例が世界中で報告されている。健康な若年成人を対象にSARS-CoV-2の再感染に関する前向きコホート研究が実施された。その結果、SARS-CoV-2抗体陽性例の約1割が再感染し、抗体陽性例であっても再感染リスクがあると発表した。

引用:Lancet Respir Med(2021年4月15日オンライン版)

 

方法

若年成人の再感染リスクを検討する前向きコホート研究COVID-19 Health Action Response for Marines(CHARM)study

 

対象は18~20歳の米海兵隊の新兵3,249例。2週間の自宅待機後に、大学のキャンパスまたはホテルで、2週間にわたる監視下での隔離を行った。登録時にSARS-CoV-2抗体検査でIgG抗体を、登録0、1、2週目に3回のPCR検査で全て陰性だった3,076例(男性2,825例、女性251例)が、その後、海兵隊新兵訓練所での6週間の前向き研究に進んだ。

 

結果

抗体陽性189例のうち19例(10.1%)が、6週間の研究期間中にPCR検査でSARS-CoV-2陽性となった。一方、抗体陰性の2,247例では1,079例(48.0%)PCR検査で陽転した。抗体陽性例の陰性例に対する罹患率比は0.18(95%CI 0.11~0.28、P<0.001)だった。

 Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析により、抗体陽性者では登録時に測定した全長スパイク蛋白質に対するIgG抗体価が高い群に比べ、低い群で再感染リスクが高いことが示された(ハザード比0.45、95%CI 0.32~0.65、P<0.001)。

 PCR陽性例のウイルス量を比較したところ、抗体陽性例では抗体陰性例の約10分の1だった(ORF1abサイクル閾値差3.95、95%CI 1.23~6.67、P=0.004)。

 

結論

健康な若年成人におけるSARS-CoV-2の再感染リスクは、抗体陽性例では陰性例の約5分の1であり、抗体陽性であっても再感染する可能性がある

・抗体陽性例における再感染リスクは、IgG抗体価の低値や中和抗体の非産生または低下と関連する

 

さらに「初回のSARS-CoV-2感染によって誘導された抗体は感染抑制に働くが、再感染に対する免疫を保証するものではない。再感染による感染拡大を回避するため、既往歴のある若年成人に対してもワクチンの集団接種が必要かもしれない」と付言