脳梗塞後の世界で生きる日記

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糖尿病治療薬がコロナ後遺症リスクを減らす!?

 新型コロナウイルスはオミクロン株以降は重症化リスクがインフルエンザと同等以下に下がり、普通の風邪になったと言われることも増えてきました。一方で、インフルエンザではあまり聞かなかった「新型コロナ後遺症」について耳にする機会は増え、不安はなくなりません。

 

 新型コロナ後遺症(Long COVID)は、倦怠感や味覚症状など多岐にわたる症状があり、世界中で多くの人が苦しんでいるものの、現時点で確立された治療法はありません。米国・ミネソタ大学、Carolyn T Bramante氏らは、COVID-19感染直後の患者に、糖尿病治療薬であるメトホルミン投与を行い、COVID-19の重症化予防とLong COVIDのリスク低減効果を評価しました。

 

方法

 COVID-19発症から7日未満、SARS-CoV-2感染確認から3日以内、30~85歳、過体重または肥満の成人を対象に、
 ①メトホルミン+イベルメクチン
 ②メトホルミン+フルボキサミン
 ③メトホルミン
 ④イベルメクチン
 ⑤フルボキサミン
 ⑥プラセボ       の6群にランダムに割り当てられました。

 

※いずれの薬も重症化には影響がないとされている。

Bramante CT, et al. N Engl J Med. 2022;387:599-610.

 

評価は 医療従事者によるLong COVID診断 としました。

 

結果

・2020年12月30日~2022年1月28日に1,431例が登録され、ランダム化された。1,126例が長期フォローアップに同意し、180日目のLong COVIDの評価を受けた。


・56.1%が女性でうち7%が妊娠していた。年齢中央値は45歳、BMI中央値は29.8であった。93/1,126例(8.3%)が、300日目までにLong COVIDの診断を受けたと報告した。


・300日目までのLong COVIDの累積発生率は、メトホルミン群では6.3%(95%信頼区間[CI]:4.2~8.2)、プラセボ群では10.4%(95%CI:7.8~12.9)だった(ハザード比[HR]:0.59、95%CI:0.39~0.89、p=0.012)。
・メトホルミンの有効性は、事前に規定されたサブグループ間でも一貫していた。メトホルミン投与が症状発現から3日以内に開始された場合のHRは0.37(95%CI:0.15~0.95)だった。イベルメクチン(HR:0.99、95%CI:0.59~1.64)、フルボキサミン(HR:1.36、95%CI:0.78~2.34)は、Long COVIDの累積発生率に影響がなかった。

 

結論

・メトホルミンは、プラセボと比較して、Long COVID発症を約41%減少させ、絶対減少率は4.1%であった。

・メトホルミンはCOVID-19の治療として臨床的利益があり、世界的に入手可能で低コスト、かつ安全である

 

感想

・メトホルミンは日本では糖尿病治療薬として保険収載されていますが、新型コロナでは保険外です。

・新型コロナ目的に使おうとすると自費診療となります。

・現実的には、糖尿病で治療を受けている方は、糖尿病の治療目的で使用で医師の処方を受けられるため主治医に相談してみるとよいかもしれません。

 

引用:原著論文

Bramante CT, et al. Lancet Infect Dis. 2023 Jun 8. [Epub ahead of print]