脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

インフレから貧困を考える

多くの人は、病気になると「貧困」は現実的な課題になる。

どれだけ金銭的な余裕があったとしても、不安にならない人はいないだろう。

 

世の中は物価高のニュースが頻繁にながれるようになってきた。

「老人に冷たい国」という貧困と社会的孤立について、高齢者の一人暮らしについて研究調査した本を読んだ。

 

 

1. 貧困とは

貧困とは、教育、仕事、食料、保健医療、飲料水、住居、エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態のこと。極度の、あるいは絶対的な貧困とは、生きていくうえで最低限必要な食料さえ確保できず、尊厳ある生活が送れない状態のことを指す。  参考:undp.or.jp

3.日本の貧困・孤立と高齢者

日本で貧困・孤立問題が注目されるようになったのは、1990年代にはいって急増した孤立死・餓死事件からである。江口英一は社会階層の視点から貧困・非低所得層の問題を研究し、低消費水準生活が社会的孤立と孤独をもたらすことを指摘した。「低消費」生活をする人々は、個人的再生産費目と社会的固定費目に挟撃されて、低所得・低収入であるがゆえに、社会生活を維持するために必要不可欠な社会的強要費目をも削減せざるえず、社会生活は圧縮され、社会的欲望や要求それ自体もしだいに萎縮し、長期的には心身の衰退、荒廃を招き、社会的孤立と孤独の中に追い込まれざるを得ない。

 こうした視点から「労働と生活の衰退」というものが、社会的に最も弱い層である高齢者世帯、特にひとり暮らし高齢者世帯に社会的孤立をもたらす。

 

4.一人暮らし高齢者

著者は調査研究を通して一人暮らし高齢者の生活類型を5つに分類した。

2011年東京都港区のデータを基にした類型毎の全体に占める割合も示す。

 

老人に冷たい国・日本より引用

 

類型1 多重困難型 17%

人間関係が非常に悪く、経済状況もよくないため毎日の生活に強い不満やストレスを感じている

 

類型2 外出困難型 24%

外出状況に問題を抱えているが、経済状況、人間関係が良好で生活に一定の満足を得ている

 

類型3 経済困難型 15%

経済状況が悪く不安を抱えているが、外出状況が良く、人間関係が良好で日常生活にはあまり不満がない

 

類型4 関係困難型 19%

人間関係には満足していないが、経済状況、外出状況が良く、毎日の生活に不満を感じていない

 

類型5 生活安定型 26%

金銭面でも人間関係でも不安がなく、ストレスを感じていない。毎日を豊かに生活している

 

当然、年代や地域によっても割合は変わるため参考値であるが、類型1の多重困難型と類型3の経済困難型が貧困と孤立の問題を抱える層であり、全体の約30%を占めていた。

 

5.病気を持つ個人としての貧困の感想

 高齢・病気などを患い労働が困難になると、経済的問題が生じ、それは生活を脅かす。それは社会的孤立へと向かう一因となりうるが、人間関係が良好で、社会的に孤立しなければ生活にあまり不満なく生活できる。

 高齢であれば仕方ないが、病気を患ったとしても可能な限り労働をすることは経済と人間関係の2つの面から貧困を防ぐ予防になると思われた。