脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

認知症患者のリハビリは効果がない?

リハビリテーションの現場において認知症患者はリハビリ効果が出ずらいことは周知の事実であると思います。しかし、一方でリハビリ施設・病院には認知症患者さんがたくさん入院しており、良い悪いを含めて発信してくことは必要なことだと思います。

 

要旨

ニュージーランドにおいて要介護高齢者へのリハビリプログラムの効果について、認知機能正常な場合はわずかだが効果は認められるが、認知機能低下が認められる高齢者には効果がないことが、Ngaire Kerse氏らによって報告された。(BMJ誌2008年10月18日号)

 

方法
ニュージーランドにある41ヵ所の軽度要介護入所施設で、対象は65歳以上の682例。このうち330例は、老人看護専門看護師によって改善目標の設定と、個別ADL活動プログラムが提供され、日々の介入がヘルスケア・アシスタントによって提供された。352例は、施設介護を受け続けた。

(※日本とは医療制度が違うが、日本においてはセラピストからリハビリをうけたと解釈)



主要評価項目は、機能・QOL・転倒。機能は、LLFDI(生命機能低下と能力障害指標)、EMS(高齢者可動スケール:スコア16以下の割合)、FICSIT-4(平衡機能検査指標:直立10秒以上の割合)、TUG(timed up and go検査:秒)の変化を、QOLLSI(生活満足度指標:判定スコア最大20)、EuroQol(判定スコア最大12)の変化を、転倒は12ヵ月の転倒回数の変化を評価した。

 

結果

介入群の中で、認知機能障害のある入所者と比べて認知機能が正常な入所者は全体的に機能の維持(LLFDIによる総合的な機能評価、P=0.024)、下肢機能の維持(LLFDIによる下肢機能評価、P=0.015)が認められた。また介入群で認知機能障害のある入所者では、うつ病の可能性が増大することが認められた。その他の転帰については両群間で差異はなかった。

 

結論
施設に入所する要介護高齢者に対する機能改善のリハビリテーションプログラムは、認知機能が正常であれば多少なりとも影響はあるが、認知機能が低下した入所者にとって効果はない

 

引用:Kerse N et al. Does a functional activity programme improve function, quality of life, and falls for residents in long term care? Cluster randomised controlled trial. BMJ. 2008 Oct 9;337:a1445. doi: 10.1136/bmj.a1445.