脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

2023年 新型コロナ感染症の実態

はじめに

 日本では、ワクチン接種率が高い。にもかかわらず、多くの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が日々確認されている。では実際に、どのくらいの人がCovid19に感染しているのだろうか。東京都心の真ん中で、医療者をはじめとした職員を対象とした調査結果が報告されたため紹介する。

 

方法

 順天堂大学の年次健康診断(2022年7月17日~8月21日)を受診した3,788人(医師1,497人、看護師1,080人、検査技師182人、その他の医療従事者320人、事務職員542人、研究者157人、その他10人)を対象に、SARS-CoV-2抗体検査を実施した。

 2020年、2021年における抗N抗体※陽性率はそれぞれ0.34%、1.59%と低かったが、2022年の調査結果では、17.7%に増加していた。また、抗N抗体陽性者のうち、約半数は感染の自覚がなかったことが明らかになった。

※ ワクチンを接種した場合は抗S抗体が陽性となり、SARS-CoV-2に感染した場合は、抗N抗体と抗S抗体の両方が陽性になる。

 

結果

・2022年における抗N抗体陽性率は17.7%(669/3,788人)であった

 (2020年:0.34%、2021年:1.59%)。

・抗N抗体陽性者669人のうち48.6%(325人)は、過去にPCR検査に基づくSARS-CoV-2感染歴がなかった。また、抗N抗体陽性で、過去にPCR検査に基づくSARS-CoV-2感染歴のある344人のうち、40人は無症候感染であった。

PCR検査に基づくSARS-CoV-2感染歴のある357人のうち、79.0%(282人)は2022年1月以降(東京でのオミクロン株の初確認後)に感染していた。

 

考察

 ワクチン接種率が高く、徹底した感染対策がとられている医療従事者においても無症候感染が多く認められたことから、無症候感染率の高さが急速な感染拡大を引き起こす要因となっている可能性がある。

 医療現場での感染拡大を完全に抑制することは難しいかもしれないが、医療現場では定期的な検温、衛生管理、マスクなどの継続的な取り組みが必要になる。

 

原著論文:Kanamori R, et al. Sci Rep. 2023;13:4941.