脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

新型コロナ感染前の睡眠状態が後遺症に影響!?

睡眠と免疫力との関係はこれまで様々なところで見聞きしますね。

免疫力と新型コロナウイルスについての相関は疑問の余地はないでしょう。

今回は、睡眠と新型コロナ後遺症の関係についての論文を紹介します。

 

はじめに

 多くの新型コロナ感染症患者が長期にわたる後遺症を経験し、公衆衛生上の深刻な問題となっています。これまでのところ、COVID-19後遺症に影響を及ぼすリスク因子の特定はあまり進んでいない。

 

 イタリア・ラクイラ大学のFederico Salfi氏らは、COVID-19後遺症に対する感染前の睡眠の質や時間、不眠症の重症度の影響について評価を行いました。結果、感染前の睡眠の質/量および不眠症重症度には、罹患後症状の発生数と用量依存的な関連性があることが示唆された。

 

方法

 2020年4月と2022年4月の2つの評価を含めたプロスペクティブ研究です。

ベースライン時(2020年4月)に、SARS-CoV-2感染が現在または過去にない参加者において、睡眠の質/時間不眠症を評価した。睡眠状態の評価には、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)、不眠症重症度質問票(ISI)を用いた。

 フォローアップ時(2022年4月)には、新型コロナ感染症患者に対し、罹患後1ヵ月(713例、2020年4月~2022年2月に感染)および3ヵ月(333例、2020年4月~2021年12月に感染)の21症状の有無をレトロスペクティブに調査した。また、新型コロナ感染症から完全に回復するまでの期間も調査した。

 長期的な罹患後症状の数に対する感染前の睡眠状態の影響を推定するため、zero-inflated負の二項回帰モデルを用いた。睡眠変数、罹患後症状それぞれの発生率と、感染4週後/12週後の回復割合との関連性の評価には、二項ロジスティック回帰を用いた。

 

結果

・感染前の睡眠状態がCOVID-19後1ヵ月/3ヵ月の症状の数に大きく影響していた。

・過去にPSQIスコア、ISIスコアが高く、睡眠時間が短い人では、COVID-19後1ヵ月/3ヵ月の時点におけるほぼすべての長期的な罹患後症状のリスクが有意に高かった。

・ベースライン時の睡眠障害は、COVID-19後、感染前の日常的な機能レベルに戻るまでの期間が長期化することとも関連していた。

 

感想

この研究では新型コロナウイルス感染前の睡眠状態と新型コロナウイルス後遺症に相関があることを示唆している。原因は明らかではないが「睡眠状態→免疫力の状態→新型コロナウイルスへの抵抗力」のような因果関係になるのではないか。もちろんその他の要因も複数存在すると考えられるが、まずは「質の良い睡眠」を普段から心がけたい。

結論は直感的に理解できる方が多いのではないか。

 

原著論文:Salfi F, et al. Brain Behav Immun. 2023;112:140-151.