脳梗塞後の世界で生きる日記

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1杯のココアが脳の働きを高める?

1杯のココアが脳の働きを高めるかもしれないという論文を紹介する。

 

バーミンガム大学のCatarina Rendeiro氏らはカカオに含まれているポリフェノールの一種「フラバノール」が豊富なココアの摂取後に、脳の活性が向上することが確認した。

 

方法

18~45歳の18人の健康な男性(平均年齢23.9±7.3歳)を対象とした二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ比較試験で行われた。

 フラバノールを高用量(681.4mg)含むココア、または低用量(4.1mg)含むココアを摂取してもらい、2時間後に高炭酸ガス負荷試験という検査を行った。1人の被験者に対して、高用量条件と低用量条件の計2回実施。試験の間隔は最低2週間以上あけた。

 

 ※高炭酸ガス負荷試験とは、5%の高濃度炭酸ガス(空気中の濃度の約100倍)を吸入する試験。これを行うと、過剰な炭酸ガス濃度を下げるために酸素の供給量を増やす必要が生じ、脳への血流を高めるような反応が起こる。

 

 研究ではこの高炭酸ガス負荷試験のほかに、行動の制御や意思決定にかかわる前頭葉領域を調べる脳画像検査や、問題解決能力を評価する認知機能テストを行った。

 

結果

炭酸ガス負荷試験を受けた17人のうち13人では、高用量フラバノール条件での酸素化反応の上昇幅が低用量条件の約3倍に達した。

また反応が現れるまでの時間は、低用量条件より高用量条件のほうが約1分短く、高用量のフラバノール摂取後には酸素化反応が素早く生じることが分かった。同様の反応の違いが、脳画像検査でも確認された。さらに、問題解決能力の評価では、難易度の高い問題に対する回答速度が、高用量条件で有意に短かった。

 

結論

1杯のココアが脳の働きを高める可能性がある

 

原著論文:Gratton G, et al. Sci Rep. 2020; 10: 19409.