脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

亜鉛補給でコロナ死亡率低下?

新型コロナウイルス(COVID-19)が2023年5月から2類から5類になり徐々にマスクをしない人も増えてきたように思います。脳卒中患者などの健康弱者は自分の身は自分で守らなければならないと思います。

 今回、サプリメントでも販売されている亜鉛についての論文を報告します。亜鉛は必須微量元素の1つで、炎症や感染症における免疫系の重要な調節因子であるとともに、直接的な抗ウイルス作用もあることが報告されています。COVID-19患者の予後を改善するために多くの研究グループが亜鉛補給に関する試験を実施してきましたが、その効果には議論の余地がありました。本論文は、亜鉛を補給したCOVID-19患者と補給していないCOVID-19患者の死亡率と症状の関連についてエビデンスレベルの高いメタ解析を行いました。

方法

 2022年7~8月にPubMedline/Medline、Cochrane、Web of Science、CINAHL Completeを用いて、亜鉛補給とCOVID-19の関連を評価した試験を検索した。重複を除去した結果、1,215本の論文が検索され、これらの研究のうち5試験を死亡率のアウトカムの評価に、2試験を症状のアウトカムの評価に用いた。COVID-19患者の亜鉛摂取と死亡率や症状の関係を評価するために、リスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。異質性はI2統計量を用いて評価した。

結果
亜鉛を投与されたCOVID-19患者では、投与されなかったCOVID-19患者と比較して死亡リスクが有意に減少した(RR=0.63、95%CI:0.52~0.77、p=0.005)。
・症状については、亜鉛を投与されたCOVID-19患者と、亜鉛を投与されなかった患者で差はなかった(RR=0.52、95%CI:0.00~2万4,315.42、p=0.578)。
亜鉛サプリメントとして入手可能であり、COVID-19患者の死亡リスクを低減する費用対効果の高い方法として有望な可能性がある。

考察

現在報告されているコロナウイルス感染症の重症化や後遺症のリスクを下げる対策の多くは抗ウイルス薬など医師の処方を必要とするものです。患者には希望でどうにかなるものではないため、サプリメントで市販されている亜鉛はお守りとして自己防衛に使用できるかと思います。

 

引用論文: Rheingold SZ, et al. Cureus. 2023;15:e40231