歩く脚で「地面をける」これが意外と難しい。
健常な人は歩くときこのような感覚は持たないだろう。
少し速足で歩くとき、に近い感覚だろうか。
脳梗塞で身体が麻痺すると、身体の動かし方がわからなくなる。
麻痺している脚で歩こうとしても、歩き方を忘れている。
だから物体としての脚を持ち上げて前に運ぶことから歩行が始まり、麻痺の改善が進むと、非麻痺側に重心を置き、麻痺側は支えるだけの「なんちゃって歩行」になっていく。
これでも一応歩いているのだが、非常に不安定で遅い。そして疲れる、疲労する。
そんな状態でも歩き続けて1年経つと、「地面をける」ことを自覚する瞬間があった。
図のT stに注目してから読んでほしい。
脳梗塞では半身に麻痺が生じるが、残りの半身は正常なわけで、そちらの健常な方の身体の動きと比べてみて欲しい。これは患者にしかわからない感覚だが、振り出した足が踵から地面に接地して、つま先、拇趾と体重心が移っていく。
健常側を真似るようにして麻痺側の動きを効率化しよう。
その時、地面をけるという瞬間があり、その歩行動作のキーワードは「踵が上がる」ことであった。
歩行分析でいうところの「ターミナルスタンス」がポイントで、「踵が上がる」ことができると「Tstのタイミングで地面をける」ことができる。
そして、これができるとできないとでは歩く時のスピード、効率が違う。
※ターミナルスタンス・・ミッドスタンスの後に起こり、股関節伸展と共に足関節では踵が浮き上がり、いわゆる「蹴り出し」が起こる時期
できる方はおめでとう。この段階はもう卒業です。
すでに歩行はほとんど病前に近いかと思います。
できない方に向けて以下説明します。
踵が上がらない原因は、股関節が伸びなかったり、膝が伸びなかったり…複数の原因が考えられまするが、下腿三頭筋の筋力不足が最も重要です。私の場合はそうでした。
いろいろ時間をかけてリハビリを試したが、最終的に
麻痺した片足でつま先立ちができるくらいでないとこの動作は起こらなかった。
もっともっとよくなりたい。
諦めない脳卒中患者さんの参考になれば幸いです。