脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

食事が認知症リスクに関与

医食同源という言葉を聞いたことはありますよね。

 

「食事は医療の根本であり、病気を治す薬と健康を増進する食事とは、本来根本は一緒であるから、日常の食生活に留意することが大切だ」とする東洋医学の考え方です。

 

この一部を証明するような研究結果を紹介します。

 

最初に結論

・抗炎症作用のある果物や野菜、豆類などの食品の摂取量が多い人は、加齢に伴う認知症の発症リスクが低い。

・炎症を促す作用のある食品の摂取量が多い人は、認知症の発症リスクが高い

 

方法

 1,059人のギリシャ人(平均年齢73.1歳、男性40.3%)を対象に、平均で3.05年追跡し、炎症を起こしやすい食事と認知症発症との関連を調べた。炎症を起こしやすい食事については、食事性炎症指数(dietary inflammatory index;DII)のスコアを基に評価した。

※ DIIスコアは、食事記録や食物摂取頻度調査票から得た情報を基に、45種類の栄養素や食品について炎症を促進するか抑制するかをスコア化したもので、スコアが高いほど炎症を起こしやすい食事であることを意味する。

 

主要栄養素は、食物繊維以外は炎症を促進

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マイナスほど抗炎症作用が強い


結果

 対象者のDIIスコアは-8.87から7.98の範囲に分布していた。スコアに応じて対象者を3群に分けて解析を行ったところ、スコアが最も高い群では最も低い群に比べて、認知症を発症するリスクが3倍高いことが明らかになった。また、同スコアが1ポイント上昇するごとに、認知症リスクは21%増大することも判明した。

 

結論

・炎症を促しにくい食事は、認知症発症リスクの低下に関連していた

・一方で、その機序が解明されたわけではない。食事により認知症の予防や脳の健康状態の維持が可能になるのかどうかが明確になったわけでもない。

 

考察

脳の健康に良い食事は脂肪の少ない肉、魚、全粒穀物、新鮮な果物や野菜などの生鮮食品、オリーブ油などを中心とした食事である。その上で、全脂肪乳製品や揚げ物、ファストフード、ペイストリー類、赤肉の摂取量を減らすなど、西洋式の食事を回避することが重要である

 

原著論文:Charisis S, et al. Neurology. 2021 Nov 10. [Epub ahead of print]

 

関連資料

・知ることと学ぶこと

食事性炎症指数(DII) | 知ることと学ぶこと (rainafterfine.com)

 

Validating the dietary inflammatory index using inflammatory biomarkers in a Japanese population: A cross-sectional study of the JPHC-FFQ validation study〔Nutrition. 2020 Jan;69:110569〕