リハビリでやった基本動作は 起居(ベッドから起き上がる)、移乗(車いすなどへ移る)、立ち上がり(座った状態から立ち上がる)、歩行の順番であった。
その結果、何とか歩けるようになり、家に帰った。
歩行というと、リハビリ病院での訓練は主にまっすぐに歩くであった。
自宅に戻り、生活となるとまっすぐだけでは壁にぶつかってしまう。
(当たり前だけど、帰るまでわからなかった)
曲がるとき、右回り、左回りどちらかで、回らないといけない。
私の場合、常に、自然と左回りをしていた。
右に曲がるときも、270°左回りして・・である。
ちなみに、私は右片麻痺だった。
左回りでぐるっと270°回って、右に行く。
なんとも変な動きをしているが、その方が安心だった。
なんとなく。怖くて右回りはできなかった。
今にして思うと、麻痺した右下肢を支点にした動きずらさと、その時の目の動き、めまい感が不快だったように思う。
それでも、あるときゆっくり右回りをやってみた。
すると、自然に上半身が右に傾いた。
なんか変な姿勢であるし、右の脇腹あたりの筋肉(腸腰筋など)が気持ち悪かった。
ちょうど図のような姿勢である。
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これはデュシェンヌ跛行と呼ばれるものらしい。
股関節外転筋群の筋力不足によるものである。
筋力不足に対する代償運動として体幹の立脚肢側への側屈が起こっていた。
これは、リハビリセラピストからは指摘されたことはなかったが、広い空間で大きく弧
を描いて曲がるときはでなかった。
リハビリ病院は歩ければもう終わり、という雰囲気がある。
しかし、家に帰ることで見えてくる課題もある。
患者の生活は家に帰ってからも続いていく。
家に帰った瞬間にリハビリが質・量ともに途端に少なくなる。
制度だから仕方ないが、リハビリ難民という言葉もあるらしい。
私自身は患者は自宅に帰ってからは自ら考えてリハビリをしていかなければならないと思う。そして、上手に病院などのリハビリセラピストに相談しながら自分の可能性を試されているのだと思う。