脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

脳卒中患者のリハビリ効果はセラピスト不在だと維持できない

 

naorureha.hatenablog.com

 

 

前回の続きでもあるが、病院を退院すると患者はリハビリをしなくなる。

すでに論文がありましたので紹介します。

 

 

脳卒中患者の身体活動度は、入院中リハビリで改善しても、退院後自主性に任せるような方法では維持できない。( BMJ誌2009年8月1日号)

 

 

日本の保険診療では入院中のリハビリテーションで、身体活動度が改善したとしても、多くの患者は医療保険のリハビリ期限150日間が終了すると、リハビリテーションは行えない。介護保険でリハビリを行うことはできるが、介護を受ける年齢、重症度のある方が対象である。

 

 

いくつかの小規模な研究では、脳卒中患者への集団指導のみで、運動・歩行能力が3~6ヵ月間は改善されたとの報告がある。

 

実際に、反復奨励と言葉による運動解説(外来での指導に置き換えられる)が、脳卒中患者の身体活動度を持続的に増大することができるのか、「ExStroke Pilot Trial」を紹介する。


これは結果をマスキング評価して行う多国籍多施設共同無作為化臨床試験で、評価はPASE(physical activity scale for the elderly)の指標を用いて行われた。

試験には、デンマーク、中国、ポーランドエストニアから、40歳以上で歩行可能だった脳卒中患者314例が参加し、介入群(157例、平均年齢69.7歳)と対照群(157例、同69.4歳)に無作為化された。

介入群の患者には、退院前に詳細なトレーニング方法が教授され、退院後24ヵ月の間に5回、外来受診してもらい追跡調査をした。

対照群の患者にも同じ頻度で外来受診してもらい追跡調査をしたが、身体活動の指導は行われなかった。

 


結果、介入群のPASEスコアは69.1、対照群は64.1で、差は5.0(95%信頼区間:-5.8~15.9、P=0.36)。介入は身体活動の、有意な増加にはつながっていなかった

 


Boysen氏は、「虚血性脳卒中患者の身体活動を促進するには、もっと強い戦略が必要のようだ」と結論した。

つまり、退院後にもセラピストによるリハビリを行わないと身体活動度は改善しない