脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

コロナウイルスの脳梗塞発症リスクはインフルの7.6倍

新型コロナウイルスはインフルエンザと変わらない、という声も聞こえるようになってきました。

 

新型コロナウイルスの死亡率をみての声だと思います。

 

しかし、脳卒中患者においては、新型コロナウイルスに伴う合併症まで含めて知っておかなければならないと思います。

 

 

 今回、脳卒中の発症率をインフルエンザ患者と新型コロナウイルス患者で比較した研究の結果が報告されたのでご紹介します(JAMA Neurol 2020年7月2日オンライン版)。

 

 

 研究は後ろ向きコホート研究で、米・ニューヨーク市の2つの大学病院で実施されました。2020年3月4日〜5月2日に新型コロナウイルス(COVID-19)によって救急外来を受診または入院した18歳以上の成人患者1,916例を対象とし、2016年1月1日〜2018年5月31日(中等度から重度のインフルエンザシーズンにわたる)にインフルエンザA /Bにより救急科受診または入院した成人患者1,486例と比較しました。

 

 脳卒中のCOVID-19患者における割合とインフルエンザ患者における割合を、ロジスティック回帰分析を用いて比較した結果、COVID-19により救急受診または入院した患者1,916例のうち31例(1.6%、95%CI 1.1~2.3%)が脳卒中を発症しました。脳卒中患者の年齢中央値は69歳〔四分位範囲(IQR)66~78歳〕でした。

 インフルエンザ患者1,486例では3例(0.2%、95%CI 0.0~0.6%)が脳卒中を発症していました。年齢、性、人種を調整した後、SARS-CoV-2感染の方がインフルエンザ感染に比べ脳卒中リスクが有意に高かった(オッズ比7.6、95%CI 2.3~25.2)。

 血管危険因子、ウイルス感染による症状、集中治療室への入室を調整後の感度分析全体でも、この関連性は一貫していました。

 

以上の報告から、COVID-19の成人患者の約1.6%が、脳卒中を経験しており、インフルエンザ患者のコホートと比べて脳卒中発症率が高かった。過去のインフルエンザ患者では脳梗塞発症率は0.2%であり、年齢、性、人種を調整するとCOVID-19はインフルエンザ感染よりも7.6倍脳梗塞を発症するリスクが高いことが示されました

 

 脳梗塞を来した31例の病型は、心原性脳塞栓症13例(42%)、アテローム血栓脳梗塞2例(7%)、潜因性脳梗塞16例(52%)で、ラクナ梗塞はなかった。

 

まとめ

今回の研究は後ろ向きコホート研究であり、医学的エビデンスが高いものではありません。

しかし、新型コロナウイルスに対する理解が進むにつれて脳卒中についての報告は増えてきており、ただの風邪みたいなものであるという風潮が一部で出てきていることはとても心配です。

脳卒中患者は、新型コロナウイルスの合併症まで理解し、感染予防を怠ってはいけないと思います。