脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

私のリハビリ体験⑩ 患者が考える良いリハビリ病院

医者にもいろいろな医者がいます。内科、外科、小児科などなど。

なんとなく患者像と重ねてイメージができるのではないでしょうか。

一方で、リハビリ医とはなにをするのでしょうか。

実際にリハビリをしてくれるわけではないし、療法士とはどこが違うのか。

 

医療者から見た視点でよく語られるのは、リハビリチームアプローチであり、以下の図になります。

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リハビリチームアプローチ

 

患者からすると専門性で分けて患者を囲んだイメージですが、みんな白衣を着ているとほとんど違いはわかりません。医療供給側の視点と思います。

 

そこで、リハビリ病院に長期入院した私の視点で表現してみました。

 

 1.リハビリ医

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キングダム

リハビリ医は患者のリハビリ全体および治療中の持病などを把握し、治療の戦略を立て、管理する。 戦略家、軍師などのイメージが当てはまります。軍師は自分では戦いませんが、戦局を左右する重大な意思決定を行います。

 

大袈裟ですって?

 

骨折のリハビリでも、心不全があるとリハビリの負荷量の調整がなければ心不全でリハビリどころではありません。認知症の患者さんであれば、症状の安定がなければリハビリどころではありません。脳卒中で、麻痺があり、失語があり、嚥下障害がある場合、退院時の目標をイメージして、どの順番で治療をすすめるかで、状態の進み方が全く変わります。間違いなくリハビリ医の力量でリハビリの結果がかわります。実際に、日本の研究でリハビリ専門医が担当した患者はリハビリの結果が良いという論文もあります。

 

 こういう複雑な合併症などの要因がない場合は、リハビリでは合併症のない、若い患者があてはまります。このケースでは戦略の差が出ずらい広い平地での戦みたいなもなのでしょう。部隊である療法士の力勝負がそのまま結果の差になるのでしょう。 

 

2.理学療法士作業療法士言語聴覚士

 

実際に現場で私たち患者を担当してくれる療法士です。国家資格による違いはありますが、役割としては同じです。残念ながら担当者によって当たりはずれが大きいと思います。教育がしっかりしている病院では質と規律がありますが、そうでない病院では同じ病院でも担当者によって全くバラバラであるのが現実です。

 

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キングダム

 

それぞれの療法士のトップは例えるなら戦術家将軍です。リハビリ医がたてた患者の治療方針という戦略に則り、個別の戦場で戦術をたてながら自らも先頭に立って部隊を率います。大きな戦略に対して、小さな戦術が複数展開していきます。ここでいう戦場は、上肢、下肢、体幹、言語、高次機能障害などとイメージできます。療法士は若手を育てながらともに戦うことで病院単位で強い療法士の集団をつくります。戦略に差がない、合併症のない患者であれば、リハビリの実力は療法士の個の力の総和です。自分だけでなく、若手も含めスタッフを教育し育てることのできる療法士は極めて優秀な病院をつくります。

 

3.どのリハビリ病院を選べばよいか

 

患者からみてどこのリハビリ病院が良いか?

優れたリハビリ医がいて、優れた療法士がいる病院です。

 

しかし、残念ながらこういう病院は希少です。

どちらも「ない」ことも多いと思います。

 

そこで、合併症があったり、高齢であるならば戦略家であるリハビリ医

そうでないなら個の力のある療法士で選ぶとよいと思います。

 

結局、患者によってよい病院はかわるというのが私の結論です。

 

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