脳梗塞後の世界で生きる日記

患者視点でリハビリについて情報発信します

脳卒中後の疲労 ~復職の課題

私は退院後しばらくあまり動かずにダラダラしていた。

家族からは動きなさい、リハビリだよと言われていた気がする。

少し動くと疲れるのが、身体が動かしずらくなったからなのか、神経疲労なのかわからなかった。ただ、リハビリスタッフから「神経疲労」という言葉を聞いていたことは救いだったと思う。

 

脳卒中後の疲労が仕事や日常生活へ及ぼす影響を調べた論文を紹介します。

復職を目指す患者なら「疲労」との付き合い方を知ることは必須だと思います。


引用:Annals of medicine. 2023;55(2);2269961. doi: 10.1080/07853890.2023.2269961.

 

はじめに

脳卒中後の患者の生活は、仕事を含む日常活動という包括的な領域であり、脳卒中後の疲労によって悪影響を受ける可能性がある。本研究では、脳卒中後の疲労の経時的な変化、および仕事復帰や日常生活活動への影響について検討した。また、脳卒中後の疲労脳卒中後1年間の日常生活活動の機能に予測因子となり得るかどうかも調査した。

 

方法

本研究は、2017年~2018年にスウェーデン脳卒中登録(Riksstroke)に登録された2850人の就業年齢(18~63歳)の患者を対象とした前向きなコホート研究である。脳卒中後3ヶ月と12ヶ月に疲労と日常活動を分析した。

 

結果

対象者の平均年齢は54歳で、男性が65%、女性が35%であった。

3ヶ月時点で約90%の患者が基本的なADLで自立していた。

脳卒中後3ヶ月で43%が疲労を認め、12ヶ月では48%に増加した。

 

脳卒中後1年間での複雑な活動は、疲労と有意に関連していた。疲労を感じていないことは、日常生活活動の機能に対する予測因子となり得ることが示され、仕事復帰(OR = 3.7)や脳卒中前の生活や日常活動(OR = 5.7)への回復の可能性が高くなった。

 

結論

脳卒中後の疲労は、一般的で持続的な障害であり、復職などの複雑な活動に否定的な影響を与える。退院後も長期的に対処される必要がある。